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2013-01-24

小橘灯

中国の児童小説作家である冰心さん。
清に生まれ、民国を生き、新中国に去った彼女の作品は
どこまでも優しく、静かに語りかけてくる母親のような
柔らかさがあります。

冰心さんの作品の中でもおすすめは「小橘灯」
訳すと「みかんの提灯」
ある田舎の夜半に起こった小さな出来事が描かれています。
以下あらすじ・・・

****
旧正月の前日「わたし」は友達の家をたずねた。友達はちょうど出かけたところらしく
友達の家に入り帰りを待つことにした。
新聞を読んでいるとドアのあく音がした。見ると小さな女の子がいた。
どうしたのかと尋ねると、女の子はおずおずと、母親が病気で先生を呼びに電話を借りに来たという。
「わたし」が代わりに電話をしてあげると感謝して帰ろうとした。
どこに住んでいるのと聞くと、ここから遠くない果物の木の下に住んでいるという。
女の子は歩いて帰った。
外が暗くなってきた。友達はまだもどらない。
女の子と母親が気になりいてもたってもいられなくなった「私」は
みかんをいくつか買って、先ほど聞いた女の子の家へ向かった。
石畳を歩き女の子の家へ着いた「わたし」はドアをノックした。
出てきた女の子は驚き、にっこり笑って「わたし」を中に入れた。
病気の母親は目を閉じベッドに休んでいた。布団のところどころに血の跡が点々としている。
「先生が注射していったから・・・だいぶ良くなったの。また明日先生が来てくれるって」
買ってきたみかんを床に置き、そのなかから一番大きいものを取り出し皮をむいた。
「あなたとお母さん、ほかに誰と住んでいるの」
「だれもいないの、お父さんは外へ行っちゃったし・・・」
女の子はそれ以上何もいわなかった。・・
外はもう暗く、「わたし」は帰ろうと立ち上がった。
すると女の子は「わたし」をひきとめ、すばやく
麻を通した大針で、おわんのように中身をくり抜いたみかんの皮を四方から刺し
竹棒で吊るして、短くなったろうそくをベランダから持ってきて、みかんのなかにたて、火をともした。
「もう暗くなったし、すべりやすいから、これで道を照らしてもどってね」
みかんの提灯を渡しながら女の子はそう言った。
女の子に御礼を言い、外まで送ってもらった「わたし」はそれ以上何を言えばいいかわからずまごついた。
すると女の子は「わたし」を励ますように言った。
「もう少ししたらお父さんは帰ってくるし、そしたらお母さんもきっと良くなるよ」
小さな手でまるをえがき、その手で「わたし」の手を撫でた。
「私たち、みんな大丈夫!」
女の子が言う「私たち」のなかには、明らかに「わたし」も含まれていた。
小さなみかんの提灯をぶら下げ、私は来た道を戻った。ぼうっとほのかに照らす提灯。
遠くまで照らすことはできないけれど、
女の子の落ち着き、強さ、あっけらかんとしたこころに奮い立たされ、
まるで眼前に無限の光明があるように思えた。
友達は既に帰っていた。みかんの提灯を見るとどうしたのと尋ねてきた。
事の顛末を話すと友達は驚いた。
「あの木匠の!どうやって知りあったの?」
「1年前、山の下の病院で、学生が数人、共産党と見なされ連れられて行ったのよ」
「あれ以来、木匠も消えてしまったわ」
「連れ去られた学生の代筆をよくしていたみたいで・・・」
その夜「わたし」は友達の家を離れ、もうあの女の子と母親の消息を聞くことはなかった。
新年を迎えるたび、わたしはあのみかんの提灯を思い出した。
12年が過ぎた。
女の子のお父さんはきっと帰ってきて
あのお母さんもすっかり良くなっただろう。
だって、「私たち」はみんな「大丈夫」なのだから。
***
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